猫好きな家庭教師の日記

猫好きなプロ家庭教師(東海地区)です。キャリア20年を振り返りつつ、日常の指導について思ったことを書いていきます。

こんな悩みもあるのです。

家庭教師をしていると、子どもの様子を観察できます。

特に気になるのは

①衛生状態

②クセ

この2つです。

 

まず①の衛生状態について。

一番目につくのは爪の長さです。

小学生の男の子が平気で5mm以上も爪が伸びていて、

もちろん真っ黒な爪垢が溜まっています。

非常に不衛生で、気分が悪いです。

 

私は常に爪切りを持ち歩いているので、その場で切ってあげちゃいます。

「こんなに爪を伸ばしてはだめ。汚いよ。」

「鼻くそほじるために伸ばしてるの?」

とか言いながら。

嫌がるかと思いきや、意外と素直に切らしてくれます。

ちょっとうれしいの?って思うくらいです。

 

指導後にお母さんの前で

「先生が来る前には爪を切るように」

と言い聞かせます。

お母さんは

「いつも切りなさいって言うんですけどね…」

でおしまい。

そりゃ切らんよ。

目の前で切らせるか、お母さんが切ってあげなきゃ…。

 

というより、そもそもお母さんが気にしていない=見ていないんだと思います。

お母さんが忙しいのは分かるけど、基本的な躾ですよね。

 

爪の次に気になるのはニオイ。

みんな成長期真っ只中だから仕方ないとは言え、強烈なニオイの場合もあります。

それ、学校でいじめられない?って思うレベルの時はお母さんにこっそり報告します。

体臭もそうだけど、口臭もかなりのもの。

正直言って、必ずマスク着用で伺うお宅もあるくらいです。

「花粉が~」「風邪予防で~」と言い訳はできちゃうので。

 

お母さん、気にならないのかな。

それがすごく不思議です。

 

 

次に②のクセ。

これは勉強中のみに現れる=ストレス発散手段である場合が多いでしょう。

つまり、お母さんはあまり目にすることのないシーンだったりするわけです。

 

よくあるのは、爪噛み・頭をぼりぼり掻く・毛を抜く、などです。

今までに一番強烈だったのは、中2の女子だったのですが、

お尻(しかも肛門)を直でボリボリ掻いてからニオイを嗅ぐ子がいました。

その子の前では見ないフリをしておきましたが、

そのニオイは私にも匂ってきていました。

 

さすがにコレはまずいと思って、お母さんにこっそり報告しました。

あくまで「心配していますよ」という意味で。

ギョウチュウとかいたら大変だし、

ひょっとしたら生理でかぶれたりしているかもしれないです、と。

 

結局解決しないまま終わってしまいましたが、あれはキツかったです。

 

最近だと、頭を掻く→ニオイを嗅ぐというのを延々続けている女の子がいます。

こちらに匂ってくるわけではないし、不衛生ということもないので今のところは

お母さんにも何も言っていませんが、

それって学校でもやってるとしたらみんな見てるよ…とちょっと心配ではあります。

 

小学生男子の場合は注意もしやすいのですが、女の子となるとなかなか難しいです。

小学生男子あるあるは、鼻くそをほじる、股間を掻く、ですね。

「おい鼻くそほじるな」

「おいチ●コ掻くな」

と言ってやりますが、中学生~高校生ともなると後者は言えなくなりますね。

 

はぁ~。

家庭教師にはこんな悩みもあるってことを、ちょいとボヤいてみました。

家庭教師という仕事③

今日は家庭教師を雇うメリット②について書こうと思います。

 

親御さんと情報交換がしやすいのは、お付き合いの長さにもよりますが

生徒の年齢が低いほどメリットがあると思います。

 

高校生くらいになると親が勉強に口を出すことも減りますし、

そもそも親に口出しさせている方が不自然かなとも思います。

 

家庭教師はご存知の通りマンツーマンでの指導なので

生徒の精神状態が指導に大きく影響します。

私は、生徒のメンタルケアも家庭教師の仕事の1つだと思っています。

 

よくあるパターンとしては…

中学受験を控える小学生の場合、完全にその子のキャパを超えてしまうこと。

 「なんで自分ばっかり」

「もう勉強やだ」

そんな思いがボヨヨーンと大きくなって、抱えきれなくなります。

 

ちょっと様子がおかしいな~と思ったら

「どうしたのー?元気ないけど何かあった?お話聞くよ?」と

声かけをしてみます。

でもほとんどの場合、

「何でもない」

という答えが返ってきます。

 

こういう時は思いっきり泣かせると気持ちが少し楽になることが多いので、

「〇〇(生徒の名前)はさー、頑張ってると思うよ。

他の子はみんな遊んでるのに自分は毎日塾だし、

塾が休みの日は私が来ちゃうし。

親は勉強しろしか言わないし。

いやになっちゃうよね。先生も中学受験したからよく分かるよ。」

なんて言いながら頭ナーデナデしてあげると

だいたいの子はグスグス…ビェーーーと泣いてしまいます。

 

そしてだいたいの場合は

「もし受験を辞めたいなら先生も一緒にお母さんに話してあげるよ」

と言うと、

「辞めない」

って言います。

 

まだ12年くらいしか生きていない子が、

とてつもなく大きなプレッシャーと闘っているんですよね。

親の期待に応えたいという気持ちも大いにあるんです。

でもそれを抑えてでもガッツリ戦いに挑むほどのキャパはありません。

ギリギリのところで頑張っている彼らを支えてあげなければならないのです。

 

中学受験の場合、生徒はもちろんですがお母さんのメンタルケアも必要です。

電話やメールで愚痴を聞くことも多いです。

 

また、毎回直接お会いできるので、次の指導までの間にお母さんにフォローして

欲しいことを具体的に伝えることもできます。

そうすることでお母さんも受験勉強に参加しやすくなりますし、

毎日毎日一緒に勉強することで子どもの大変さを体感できるというメリットも

あります。

 

生徒が中学生の場合は、「ザ・反抗期」なのでケアの仕方も少し変わります。

まずは「もう小学生じゃないから、子ども扱いしないよ」ということを伝えます。

 

小学生の時から教えている子の場合は特にそうですが、

今までとは違った対応をしてあげます。

時には「ちょっと聞いてよー」と、私が愚痴ることもあります。

ちょっと大人扱いされることで、先生の信頼を裏切ってはいけないなと自覚することも

大事だと思うんですよね。

 

反抗期なのは当たり前なので「盛大に反抗するがよろし」と伝えます。

その代わり、人として言ってはいけないこと・やってはいけないことはするな。

それが区別できないなら反抗する資格はないし、

そもそもそれは反抗ではなくてただのワガママだぞ、

と釘は刺しておきます。

 

生徒とはそんなやり取りをしながら心の状態をさぐり、

お母さんには本人のいないところで伝えます。

本人の前でお伝えするのはその日の学習内容くらいです。

小学生のときのように、本人たちの目の前でダメ出しすることは極力控えます。

あまりに目に余ることはわざと目の前で言うようにしますが、

彼らのプライドに関わることは控えるようにしています。

 

塾でもある程度のフォローは可能だと思いますが、

このくらいガッツリなフォローができるのは家庭教師だからだと思います。

賛否両論あるかもしれませんが、これが私のスタイルです。

家庭教師という仕事②

前回のつづきです。

 

家庭教師を雇うメリットとは一体なんでしょう?

私の思うメリットは、

①完全マンツーマンのため、その子に合った指導ができる

②毎回親御さんとお会いできるので、情報交換がしやすい

主にこの2つです。

 

①を実現させるためには、準備にとてつもなく時間がかかります。

通っている学校も学年もバラバラの生徒を10人受け持っているとすると、

教科書を必要な分だけ買いそろえ、

その子の弱点を強化するためのプリントを作り、

必要な子には小テストを準備します。

 

●生徒が高校生の場合●

私は英語の予習を必ずさせて、

復習として教科書の穴埋め問題をテストしますが、

予習のためのノートがどうしても自分で作れない子には

全て手書きでノートに英文を書き写してあげます。

色々書き込むことを考えると、教科書のコピーでは1文ずつの改行もなく、

行間も狭いのでダメなんです。

 

パソコンで英文を打ったものをノートに貼らせてもいいのですが、

これまた意外とめんどくさい作業になってしまうんです。

「プリントを貼れるちょっと大きいノート」を買わなければなりませんし、

ノートに貼ったプリントって書き込みにくいんですよね。

 

できあがったノートは手渡す前にすべてコピーをとり、

全訳+穴埋め問題+定期テスト風の練習問題を作ります。

これだけでもすごく時間がかかります。

 

高校生が相手だと、教科によっては私もうっかり記憶が飛びかけたりするので

同じ問題集を買って勉強し直さないといけないこともあります。

 

●生徒が中学生の場合●

英語は教科書の穴埋め問題を作っておいて、

学校の授業に先行してまずは内容を説明します。

次の週に穴埋めのテストをしますが、その間に学校の授業も進むので

理解が進むと思っています。

 

数学もできれば学校の授業に先行して内容を説明し、

学校の問題集を解かせながら理解させます。

その状態で授業を受けてくれば、「ちんぷんかんぷん」は回避できると思うので。

 

どうしても理科や社会が苦手な子がいれば、

コツコツ積み重ねていけるように小テストを準備します。

 

●生徒が中学受験を控える小学生の場合●

中学受験を控える小学生には毎日計算の宿題を出すので、

問題を全て書き写した状態のノートを渡しておきます。

現行のノートがなくなる前に次のを用意しなければなりません。

基本的には週に1度私がチェックしますが、

本当に苦手な子の場合は計算過程をすべて書いた解答を作って、

親御さんに毎日チェックしてもらいます。

 

暗記が苦手、漢字が苦手な子には小テストを用意して

毎週コツコツやらせるしかありません。

 

 

これを10人分、実働の前にこなさなければなりません。

時には休日返上を強いられることもあります。

 

でも、誰かにやれと言われているわけではないので、

ここはサボろうと思えばどれだけでもサボれるポイントなんですよね。

 

私はこの作業も、頂いている指導料に含まれるものと考えているので、

実際の時給はすっごく低いと思っています。

ボーナスも無いし…(泣)

 

でも、私が生徒に時間と気持ちを注げば、

いつかそれが生徒のやる気や成績という形に変わってくれると信じています。

 

またまたつづく。

次回はメリット②について書こうと思います。

 

 

家庭教師という仕事①

家庭教師というのは、塾と違って他の講師の指導を見ることはありません。

また、他の講師との交流もSNSなどを使って積極的に行わない限り

ほとんどありません。

 

ズバリ、家庭教師は

「どれだけでも手をかけられるし、どれだけでもサボれる仕事」だと思うんです。

 

正直言って実働時間は会社勤めの人に比べたらすごく少ないです。

子供たちが学校から帰ってこないことには成り立たないので、

夕方から夜まで、2時間1コマと考えると1日に2件しかできません。

移動時間を含めなければ、1日4時間の勤務です。

 

よく「家庭教師って割がいい仕事でしょ?」と言われますが、

それは実働時間の4時間だけ家庭教師をしている講師です。

 

生徒の横について「はい問題解いて~」

・・・解いてる間はボーっとするか読書でもするのかわかりませんが、

「先生、できました」

「はい、じゃあ答え合わせするね~」

〇と×をつけて、ひどいとその場で赤で答えを書くかもしれません。

 

それで「プロの家庭教師ですっ」と言っているような講師も

きっといると思うんです。

 

何人か家庭教師をつけていた生徒さんを指導したことがありますが、

「何言ってるかわからなかった」

「問題集の解説を読んでるだけだった」

「横にいるだけの先生だった」

という話を実際に聞いたことがあります。

 

生徒の成績が上がらない場合、

「ご本人の努力が足りません」と言ってしまえばそれまでです。

親御さんは「その通りだ」と思うかもしれませんし、

「家庭教師と言うのはこういうものだ」と思うかもしれません。

 

でもせっかくマンツーマンで指導できるのだから、

それでは時間がもったいないと思うんです。

 

子どもにとって、親御さんにとって、

家庭教師を雇うメリットとは一体何なんでしょう?

 

つづく。

発達障害の子の指導③

今日は、小5から指導を始めて現在高校1年生のCちゃんのお話です。

 

Cちゃんは私立中学を受験しました。

当初志望していた中学よりもランクの高い中学に合格。

しかしどうにもお勉強が嫌いなのはひしひしと伝わってきていた子だったことと、

ランクの高い中学は恐らくギリギリで合格していると思われたので、

入学後に苦労することが目に見えていました。

 

親御さんは志望校で余裕をもって過ごしてほしいと考えていらっしゃって、

私もそれに賛成でした。

しかし本人はランクの高い方の中学に行きたい!と主張。

苦労するよ、大変だよ、と何度も念を押したのですが、

それでもいいと言い張りました。

 

12歳の子にその選択を任せてしまうこと自体、とても危険だなぁとは感じたのですが、

なんせ気難しい子で親御さんの言うことは聞きません。

無理やり志望校に行かせて「私は行きたくなかった」「だから言ったのに」と

後々文句を言うことも想定できたため、ランクの高い中学へ入学を決めたようです。

 

彼女が発達障害かどうかは分かりません。

しかしその疑いは大いにあると思い、今回の記事にしました。

 

その根拠は

①プリント類の整理ができず、すぐ失くしてしまう

②お母さんに対する反発が激しすぎる

③順序良く話をすることができない

④こちらの言ったことを自分の言葉に置き換えないと気が済まない

⑤こだわりが強く、摂食障害がある

というようなことです。

 

①については高校生になった現在も、教科書を失くしてしまうほどです。

②は小学生の時は私の目の前でお母さんを平気で殴ったり蹴ったりしていました。

中学に上がってからも折り合いが悪く、彼女には兄と弟がいるのですが、

お母さんは「小さい頃からこの子だけ本当に育てにくかったんです」と

おっしゃっていました。

高校に入る頃には落ち着くかな・・・と思っていましたが、

今現在もお母さんをはじめ、家族とうまく付き合えないようです。

 

⑤についてはアニメや漫画が好きでいわゆるオタクであること、

(オタクの人たち=発達障害という意味ではありません)

マンガやグッズを買うために家族のお金を何度も盗んでいること。

そしてだいぶ偏食があり、食卓でまともにご飯が食べられないこと、

お菓子を部屋に持ち込んで食べていること、などです。

 

1~2回、発達障害の話をお母さんにしたことがあります。

お母さんは「そうかな、と思うこともあります」とおっしゃっていましたが、

病院へ行くという選択肢はどうもなさそうです。

 

Cちゃんの場合は一番の安らぎの場所であるはずの自宅が、

彼女にとっては「敵だらけ」のような状態であるように感じます。

 

欲望を抑えることも苦手なせいか、お金を盗んだりもしてしまいます。

バレて散々叱られても、またやってしまいます。

 

私から見ていて、Cちゃんは「生きにくい」だろうなぁと思います。

お友だちはいるみたいなのでそこは安心ですが、

オタク友達とコスプレパーティーをしたり・・・と少し心配な面もあります。

 

中学生の時は私に対しても結構な態度だったのですが、

高校生になった頃から少し落ち着きました。

これは年齢を重ねるとともに、彼女が成長した証だと思っています。

 

ただ、あまりに家族とうまくいかないこと、

相変わらず勉強は嫌いで赤点を取ることもあること、

食事をきちんと摂っていないこと、などなど、

心配の種ばかりです。

 

私は敵だとは思われていないと思いますが、

どこまで味方になれているのかわかりません。

 

何とかもう少し彼女が生きやすくなるコツを身につけさせてあげたいのですが、

とっても難しいです。

発達障害の子の指導②

今日は、小5から指導している現在高校1年生のB君のお話です。

 

B君のお母さんとは元々お知り合いだったという事もあり、

指導の依頼を受けました。

 

B君は幼児の頃に「高機能自閉症」と診断されたそうで、

お母さんからは「この子は塾とか無理だと思うし、家庭教師も全く知らない人にお願いするのは怖いから」という理由でご相談を受けました。

私がA君(発達障害の子の指導①)を指導したことがあったのも大きかったようです。

 

まず初めにB君のお母さんからお願いされたことは

①絶対に叱らないでほしい(特に大きな声はNG)

②新しいワーク類は本人が初めに最後までパラパラ目を通したがるから、

 それはさせてやってほしい

③慣れるまでは「今日は〇〇と△△をやるよ」と言ってあげてほしい

④終わりが見えないことに不安を感じるから、ある程度の時間が経ったら

 「今日はここまでやったら終わりね」と声かけをしてあげてほしい

⑤頭が混乱するとすぐパニックになって自傷癖もあるから、そういうときは

 休憩させてほしい

というような事でした。

 

B君の指導ミッションはこちらが決めて良いとの事だったので、

①毎回漢字の小テスト

②算数のワークを一緒にやる

③中1の英語を2年かけてのんびりやる

④毎日日記を書く

という4つにしぼりました。

 

特に算数が好きではないため、ちょっとでもわからないことがあると

目に涙をためて呼吸が荒くなり、

最終的には鉛筆で自分の手の甲を刺し始めてしまうという特徴がありました。

 

そんな時は、

「一度この部屋から出てリフレッシュしておいで」

「何分かかってもOK」

「嫌だったら戻ってこなくてもOK」

という事を伝えて、なるべく彼のペースに合わせました。

 

わりとすぐに戻ってくる日もあれば、30分戻ってこない日もありました。

B君は自分には自信がないのだけれど、

出来ない自分に腹が立ってしまう事が多かったです。

 

宿題をやり忘れてしまったら、そんな自分に腹が立ってしまうし、

1度の説明で把握できなくてもイライラしてしまいます。

 

もちろん、そんな彼のペースに合わせるのですから

正直言ってこちらも腹の立つことはたくさんありました。

しかしそこはグッと我慢。

我慢、我慢、ひたすら我慢です。

 

2年かけて英語の基礎を叩きこんだので、

中学に入ってからの英語はほとんど苦労せずに乗り越えられました。

本人も「英語は得意」と自分に良いレッテルを貼ることができたので、

英語の勉強は苦ではなかったようです。

暗記も得意なので、文系科目はよくできていました。

 

高校に入ってからも指導は続けていますが、

さすがに化学や数学はキツいみたいで、

学校の問題集を解かせていても、同じ問題を2度以上間違えてしまうと

「なんでなの?!何が違うの?!(怒)」

と怒れてしまいます。

そんな時は「お、B君頭から湯気が出始めたね。プスプス言ってるよ~」と

言いながら他の教科に切り替えることにしています。

 

「頭がプスる」というのを「悪いこと」ではなくて

「限界の合図」としてとらえているので、

ちょっと悩み始めた時は「B君大丈夫?プスってきた?」とお伺いをたてます。

 

本人に余裕のある時は「やばい、プスってきた(笑)でももう少しやる」という

ような感じで頑張れるのですが、余裕のない時は「もうやめる」と言います。

この、自分で「もう限界だからやめる」という判断ができるようになってからは

自傷行為はほとんどなくなったように思います。

 

私は専門家ではないので、対応の仕方が合っているのかどうかは分かりませんが、

発達障害と言っても症状は十人十色なので、

その子に合わせた対応ができればそれでいいのではないかな、

と思うようにしています。

 

B君は小さいころからずっと療育に通っていたので、とても幸せな子だと思います。

お母さんもとても理解があって、常に

「どうしたらこの子が生きやすいか」

「どういう環境がこの子にとって生活しやすいか」

というのを考えていらっしゃいます。

このように身近な人に理解されて支えられているかどうかは本当に大きいと思います。

 

B君本人は自分が「高機能自閉症」であることはまだ知りません。

ただ、自分には苦手なことがあるのは分かっているようです。

 

苦手なことに手を差し伸べ、対処の仕方をひとつずつ教えてあげるだけで

ずいぶん生きやすくなると思うのです。

 

中学の時はほぼ友達ゼロ人だったB君ですが、

今は部活で仲間ができ、彼なりに楽しく過ごしているようです。

お母さんが「Bが友達と話してるとこ、こっそり撮っちゃった!」と

嬉しそうに話していらっしゃったのが印象的です。

 

残り2年の高校生活もできる限り手を差し伸べ、

お母さんと一緒にB君の将来を考えていきたいと思います。

発達障害の子の指導①

これまで指導してきた生徒の中には、発達障害の子、

もしくは発達障害の疑いのある子が何人かいました。

 

今日は発達障害の疑いのある子を初めて指導した時のことを書きます。

 

A君は中学1年生から高校1年生まで指導しました。

初めにおかしいなと思ったことは

①ひらがなを含め、書き順がめちゃくちゃ

②日本語の時系列や順序がめちゃくちゃ

③学者言葉を使いたがる

というようなことでした。

 

ご両親が共働きだと、なかなか細かいことまで目が届かないのかなぁ・・・

なんて思いながら指導を始め、

①の書き順についてはひとつずつ直していきました。

②については「んー。何が言いたいか分からないからもう一度言ってみよう」と

いう感じでひとつずつ言い方を教えました。

 

③については結構ビックリするような発言が多かったのですが、

今でもはっきり覚えているのは

A君「先生は外国に行ったことがありますか?」

私「あるよー。〇〇とか△△とかに行ったよ。」

A君「そうなんですかー。ぼくは渡米したことがあります。」

私「へぇ~!すごいね~!渡米したのね!すっごー!(渡米ってー!)」

というやり取りです。

 

その他にも

A君「雪が降りましたね。」

私「そうだねー。スタッドレスは今年で寿命かな~。来年は買い替えなきゃいけないけどお金ないから困るな~。」

A君「先生あんなにお金もらってるのにお金ないんですか?!」

私「いやいや、そういう意味じゃないよ…(泣)」

というやり取りが。

私は月謝袋をお渡しして現金で指導料を頂いているので、

その袋に書いてある金額を見て、中学生にとっては大きなお金だったので

そう思ったのだと思います。

 

もう一つエピソードを。指導中の休憩時間のことです。

A君「(キッチンへ行って)先生~、お水飲みますかー?」

私「ありがと~。頂くわ~。(気がきくじゃん)」

A君「わかりました!ぼくはカフェオレを飲みます!」

私「!!!!」

この時はきちんと教えました。

自分が飲むだけじゃなくて先生にも飲み物を勧めてくれたのは

すごくいい事だったんだけど、お水は蛇口ひねれば出てくるよね?

お店に行っても無料でもらえるよね?

二人ともお水を飲むならいいんだけど、先生がお水で君がカフェオレなのは

申し訳ないけどお客さんに対しては失礼なことなんだよ。

と。

A君は素直に「わかりましたー。」と言っていました。

 

この他にも、嫌味のようなことを言われることも多かったのですが、

A君には全く悪気はありません。

なので、ひとつずつ、「それは嫌味だよ」

「その言い方はダメだからこういう言い方にしようね」

と教えてあげなければなりませんでした。

 

一度親御さんに「失礼ですが、アスペルガー症候群だと疑ったことはありませんか?」と伺ったことがあります。

それに対しての答えは

「うちの子はグレーだからさー。診断を受けるつもりもないよ。

診断がついちゃったら就職とかにも不利だからね。」

とバサッと切られてしまいました。

 

学校でもお友だちがおらず、よくイジられていたようです。

それでもその親御さんは認めたくなかったようです。

 

診断がつくことはそんなに本人にとって不利なことなのでしょうか。

すごく悩みました。

発達障害だとしたら、一番必要なのは周りの理解とサポートだと思うんです。

 

その後は勝手に「この子は発達障害だ」と思う事にして、

腹の立つことを言われてもグッと我慢してひとつずつ正しいことを教えました。

 

親御さんは大学進学も考えていらっしゃったようですが、

とてもじゃないけど大学卒業→自力で就職というのは困難だと思ったので、

ランクを落とした高校へ進学して上位をキープさせ、

大手の企業に就職させてあげるのが良いと思うと伝えました。

 

高校卒業まで指導は続けませんでしたが、風のうわさで

大好きな鉄道会社に就職できたと聞きました。

すごくすごく嬉しかったです。

 

この子の指導経験がとても勉強になり、

その後の指導の糧になりました。

 

大変な子を指導することが多いけれど、

すべてが私の経験値になるのだということを実感できました。