発達障害の子の指導①
これまで指導してきた生徒の中には、発達障害の子、
もしくは発達障害の疑いのある子が何人かいました。
今日は発達障害の疑いのある子を初めて指導した時のことを書きます。
A君は中学1年生から高校1年生まで指導しました。
初めにおかしいなと思ったことは
①ひらがなを含め、書き順がめちゃくちゃ
②日本語の時系列や順序がめちゃくちゃ
③学者言葉を使いたがる
というようなことでした。
ご両親が共働きだと、なかなか細かいことまで目が届かないのかなぁ・・・
なんて思いながら指導を始め、
①の書き順についてはひとつずつ直していきました。
②については「んー。何が言いたいか分からないからもう一度言ってみよう」と
いう感じでひとつずつ言い方を教えました。
③については結構ビックリするような発言が多かったのですが、
今でもはっきり覚えているのは
A君「先生は外国に行ったことがありますか?」
私「あるよー。〇〇とか△△とかに行ったよ。」
A君「そうなんですかー。ぼくは渡米したことがあります。」
私「へぇ~!すごいね~!渡米したのね!すっごー!(渡米ってー!)」
というやり取りです。
その他にも
A君「雪が降りましたね。」
私「そうだねー。スタッドレスは今年で寿命かな~。来年は買い替えなきゃいけないけどお金ないから困るな~。」
A君「先生あんなにお金もらってるのにお金ないんですか?!」
私「いやいや、そういう意味じゃないよ…(泣)」
というやり取りが。
私は月謝袋をお渡しして現金で指導料を頂いているので、
その袋に書いてある金額を見て、中学生にとっては大きなお金だったので
そう思ったのだと思います。
もう一つエピソードを。指導中の休憩時間のことです。
A君「(キッチンへ行って)先生~、お水飲みますかー?」
私「ありがと~。頂くわ~。(気がきくじゃん)」
A君「わかりました!ぼくはカフェオレを飲みます!」
私「!!!!」
この時はきちんと教えました。
自分が飲むだけじゃなくて先生にも飲み物を勧めてくれたのは
すごくいい事だったんだけど、お水は蛇口ひねれば出てくるよね?
お店に行っても無料でもらえるよね?
二人ともお水を飲むならいいんだけど、先生がお水で君がカフェオレなのは
申し訳ないけどお客さんに対しては失礼なことなんだよ。
と。
A君は素直に「わかりましたー。」と言っていました。
この他にも、嫌味のようなことを言われることも多かったのですが、
A君には全く悪気はありません。
なので、ひとつずつ、「それは嫌味だよ」
「その言い方はダメだからこういう言い方にしようね」
と教えてあげなければなりませんでした。
一度親御さんに「失礼ですが、アスペルガー症候群だと疑ったことはありませんか?」と伺ったことがあります。
それに対しての答えは
「うちの子はグレーだからさー。診断を受けるつもりもないよ。
診断がついちゃったら就職とかにも不利だからね。」
とバサッと切られてしまいました。
学校でもお友だちがおらず、よくイジられていたようです。
それでもその親御さんは認めたくなかったようです。
診断がつくことはそんなに本人にとって不利なことなのでしょうか。
すごく悩みました。
発達障害だとしたら、一番必要なのは周りの理解とサポートだと思うんです。
その後は勝手に「この子は発達障害だ」と思う事にして、
腹の立つことを言われてもグッと我慢してひとつずつ正しいことを教えました。
親御さんは大学進学も考えていらっしゃったようですが、
とてもじゃないけど大学卒業→自力で就職というのは困難だと思ったので、
ランクを落とした高校へ進学して上位をキープさせ、
大手の企業に就職させてあげるのが良いと思うと伝えました。
高校卒業まで指導は続けませんでしたが、風のうわさで
大好きな鉄道会社に就職できたと聞きました。
すごくすごく嬉しかったです。
この子の指導経験がとても勉強になり、
その後の指導の糧になりました。
大変な子を指導することが多いけれど、
すべてが私の経験値になるのだということを実感できました。